今までユーグレナが注目されなかった理由とは?

今までユーグレナが注目されなかった理由とは?

ユーグレナの今までの研究歴史

ユーグレナの今までの研究歴史 今でこそ、ユーグレナには大きな可能性を秘めていることが分かって、まず食品・食料としての活用が始まっています。
しかし、ユーグレナ自身は5億年前から生息している生物であり、また同じような生態を持つクロレラやスピルナに豊富な栄養成分が含まれていることが分かっていながら、今までユーグレナが注目を集めなかったのはなぜでしょうか? 

実は、今から50年以上前の1961年に、既にユーグレナを使って光合成の研究を行ったアメリカのメルヴィン・カルヴィン氏らがノーベル化学賞を受賞しています。
また、1970年代に入ると、アメリカ航空宇宙局(NASA)が宇宙空間での生物の挙動を研究する材料としてユーグレナを使い、併せて乗務員の呼吸によって出る二酸化炭素を吸収して、酸素が得られるというメリットがあるため、研究を行うということで注目を集めた歴史があります。
それでも、クロレラやスピルナのように今まで製品化が進まなかったのはユーグレナの大量培養が難しかったからです。
あのNASAでさえ成功しませんでした。

大量培養が難しかった理由

ユーグレナは、他の同じような生態の生物に比べると培養するための生存環境として温度、光、撹拌などの条件が難しかったことや、ユーグレナが、食物連鎖でいうともっとも底辺にいる生物のため、余程の生育条件が揃わないと他の生物のエサとなって死滅するからです。
従って、エサとなって死滅する以上の速度で繁殖できるような環境とするか、もしくは他の生物がいない無菌のような環境でないと培養できなかったからです。

そのため、今まで、大量繁殖に成功できていませんでした。
大量培養が安価にできなければ、どんなに優れた栄養価をもっている生物でも食品・食料としては価値がありません。
まして世界の食糧問題を解決するというためには安価に培養できる必要があります。

尚、ユーグレナは、太陽と水と空気があればどこでも簡単に育てられるという部分と矛盾しますが、商業ベースで大量培養するためには難しいということです。
自然界で少量であれば、太陽光と水と空気があれば簡単に育ちます。
尚、この技術を一から習得するのは難しいですが、技術移転を行うことで、どんな場所でも簡単にユーグレナを育てることが出来るようになります。


培養液、培養条件の模索

培養液、培養条件の模索 この難しい大量培養技術を求めて、研究者達は、ユーグレナが酸性の水質環境に強いということを発見し、これをヒントに、ユーグレナが成長をおこなうには問題がなない酸性濃度で、かつユーグレナの天敵となる生物が生息しないような培養液とその酸性濃度の研究を始め、膨大な組み合わせの中から最適な培養液がようやく発見・開発できたのでした。
この成果のおかげで、食品・食料として利用が進むようになったのです。数十年後には、食糧事情が更に厳しくなりユーグレナの果たす役割が大きくなれば、組み合わせの技術とは言え、ノーベル賞に匹敵する功績として讃えられる日が来る可能性がないとは決して言えないのではないでしょうか。